Webサイトのパフォーマンスを最大化するレポーティング
GA4に組み込まれたレポートは、従来のUAのダッシュボードとレポートとは大きく異なります。従来のUAと比べると、GA4 にはすぐに使えるレポート数がはるかに少なくなっています。この一つ理由は、データ構造が GA4 では刷新され、よりシンプルなデータ構造になったことが挙げられます。
一方で、まだGA4に慣れていない人にとって、GA4 に適応する際の最大の課題の 1 つは、レポートが見つからないことです。データ構造の変化に伴い、指標を変わりました。同じような指標があっても、厳密的には少し異なっている指標もあります。どの指標を追っていいのかわからないと戸惑ってしまうこともあるでしょう。
今回は、GA4のデータをどのツールを使ってレポートティングすべきか、レポートにどのような指標を入れるべきかを紹介します。
Webサイトのパフォーマンスを測るレポートツールの選択
大きな予算を割いてアナリティクスツールを導入していない場合に考えられるレポート方法の選択肢は下記のどれかになるのではないでしょうか。
GA4のレポートと 探索ツールを使う
Looker Studio(旧データポータル)を使う
Looker StudioとBigQueryを組み合わせて使う
手作業でエクセルで集計する、PPTでプレゼンテーションする
企業によって確認したい指標は少しずつ違うと思いますが、確認したい指標を確認するという目的さえ達成できれば、どのようなツールを使っても問題ないと思います。なるべくであれば、効率的な方法で、無駄な予算をかけない方法が良いのではないでしょうか。
レポートの目的
それでは、なぜレポートで指標を確認しなければならないのでしょうか。マーケティングが本質的な役割を果たすためにレポートはとても重要です、レポートの目的としては下記が挙げられます。
全体的にコントロールするために各チャネルやキャンペーンの数字、傾向を把握すること
目標数字との乖離を確認すること
さらに、一番重要なことは、レポートの数字をどのように判断するかです。
例えば、数字が局所的に悪い数字があっても、全体的には調子が良い場合もあります。このような状況の場合は、「状況は良いのか、悪いのか。全体的にはコントロールできていると言えるのか。」を判断する必要があるでしょう。
目標数字と乖離してしまっている場合には、「どこの数字を上げるのか、どこを改善するのか、目標を下げるのか。」を判断する必要があるでしょう。
このように、レポートを定期的に作成し分析し、マーケティングプランを調整すべきか判断していくことで、最終的には計画的な売上や販売につながっていくのではないかと考えています。
GA4に組み込まれたレポートの短所
GA4に組み込まれたレポートには短所の下記があります。
データ精度(しきい値処理、サンプリング)
データ保存期間(2ヶ月もしくは14ヶ月)
APIの制限(Looker Studioとの連携)
キャッチアップ、トレーニングが必要
視覚的な制限
共有できない
カスタム レポートの設定と制限事項
過去の UA データがない
GA4レポートの課題を解決するおすすめのレポート方法
GA4のデータをLooker StudioにAPI連携で表示できるようにしたり、BigQueryへデータを転送してLooker StudioでBigQueryのデータを操作できるようしたりすることでGA4のレポートの短所を解決することができます。
一方で上記のようなBIツールの活用やDWHの活用には人的リソースやコストがかかってきます。コストに見合ったリターンを比較して、どこまでレポートティングを理想の形にすべきかを考えると良いでしょう。
例えば、過去の UA データをGoogleスプレッドシートに追加し、さらにGA4のデータを追加していきます。GoogleスプレッドシートとLooker Studioを連携させ、Looker Studio上で前年対比、前々年対比を表示することもできます。
また、中規模以上のサイトでGA4 APIの制限がかかる場合、多くのキャンペーンを評価する場合は、 Looker Studio などのBIツールとBigQuery を組み合わせてダッシュボードとレポートを作成することができます。
FLOURISHでは、Webサイトのパフォーマンスを視覚的に見やすくしたり、月次レポートの作成を効率化したりするために、Looker Studio で作成することを推奨しています。
Looker Studioを活用する場合は、テンプレートを使うこともできますが、自社のニーズに合わせて0から構築する工程が必要になります。Looker StudioなどのBIツールを使うメリットは、レポートの目的と必要な指標を考えて構築できることにあると思います。
Webのパフォーマンスを評価する際にどのような指標を測ることがポイントになるのか、どのようなことを意識してレポートを作成すべきかを紹介します。
レポートからビジネス上の重要な質問に対する回答を得る
レポート作成のポイントは、ビジネス上の重要な質問に答えることです。
Google アナリティクス 4や Looker Studio から詳細を掘り下げて分析情報を発見し、次のような重要な質問に答えられるようにしましょう。
トラフィックの獲得
サイトへの総トラフィックがわかるだけでなく、サイトをどのように見つけたかによっても分析することができます。
時間の経過とともにユーザーの傾向はどうなっていますか?
どのチャネルからトラフィックが最も多いですか?チャネルごとのトラフィックは時間の経過とともにどのように変化しましたか?
ファネル
カスタマー ジャーニーの各段階でのパフォーマンスを視覚化し、マーケティングおよび販売目標到達プロセスを確立することは重要です。まずはファネル内で追跡する目標とイベントを定義する必要があります。
コンバージョンはどのように行われますか?
どのページで最もコンバージョンが多かったものはどれですか?
各トラフィック ソースのコンバージョン率はどのくらいですか?また、コンバージョンを増やすために Web サイトを最適化するにはどうすればよいですか?
ユーザーはウェブサイトをどのように操作しますか?
行動ファネルはどのように活性化されますか?
ボトルネックは何ですか?
上位のイベントは何ですか?
ユーザー情報
Web サイトの訪問者を把握し、コンテンツや広告でどの領域をターゲットにするかを決定するのに役立ちます。もしターゲットと違う年齢層が多く訪問していたら、どうしたらいいでしょうか。そんなことを考えることもできます。
どの地域のどのデバイスからのものですか?
Web サイト訪問者の人口統計上の特徴は何ですか?
コンテンツパフォーマンス
コンテンツのパフォーマンスはどうですか?
各トラフィック ソースの直帰率はどのくらいですか?また、これらの訪問者とのエンゲージメントを向上するにはどうすればよいでしょうか?
各トラフィック ソースの平均セッション時間はどれくらいですか?また、ユーザー エンゲージメントを高めるにはどうすればよいですか?
平均的なユーザーのセッションあたりのページビューは何回ですか?また、コンテンツへのエンゲージメントを向上させるにはどうすればよいでしょうか?
どのページがより魅力的ですか?
Web サイトで最も人気のあるコンテンツは何ですか? エンゲージメントを高めるためにコンテンツを最適化するにはどうすればよいですか?
販売
再訪問率はどのくらいですか?
最も売れている製品、カテゴリ、ブランドは何ですか?
Web サイト訪問者の顧客生涯価値はどれくらいですか?
SEO: Google サーチコンソール
サイト上のどのクエリがランク付けされ、トラフィックを生成しているかを知ることは、特定のキーワードに対する SEO の取り組みに重点を置くのに非常に役立ちます。
ウェブサイトへのトラフィックを増加させているページは何ですか?
キーワード(クエリ)はビジネスやウェブサイトのコンテンツに関連していますか?
ウェブサイトへのトラフィックが増加している国はどこですか?
オーガニックトラフィックの時間の経過に伴う全体的な傾向はどのようなものですか?
Web サイトのクリックスルー率 (CTR) はどれくらいですか?
インプレッション数は多いものの、クリック数はそれほど多くないクエリはありますか?
UX:Core Web Vitals
UXの向上はSEO対策でも重要な指標となっています。Core Web Vitals が向上すると、ユーザー エンゲージメントとビジネス指標が向上することがわかっています
Core Web Vitals はどうですか?
Google アナリティクス 4や Looker Studio でこれらの回答に答えられるように、レポートを設計することが重要です。
Webだけの分析からマーケティングへ拡張
レポートを創造的な作業へ
Looker Studioなどのレポートを作成する際に、どのような指標をなぜ追跡するのかを整理し、レポートを設計することで、単純作業だったレポート作業はクリエイティブな仕事になります。
まだ、会社の中には、自分の成績のために良い数字だけ報告するためにレポートを作成する人も残念ながら一部いらっしゃると思います。こういった場合は、レポートが本来の役割を果たせなくなってしまいます。
自動化して戦略に時間を使う
毎回手作業でレポートに時間をかけていた場合、Looker Studioなどのレポートで自動的に出力できるように実装することで、定型作業から解放されます。定型的なレポート作成から解放され、分析や施策提案などの戦略策定に時間やコストをかけることが可能となります。
レポートは見ているだけでは役に立たないので、定期的に分析して考察することが重要になります。分析して何かに気づくこと(意外に難しいです)、その何かを深掘り下げて原因を考えることを心がけます。
デジタルマーケティングだけの分析からマーケティングの分析へ
さらにSNSやキャンペーン効果なども追加してプロモーション(販売促進)も含めた分析、CRMや売上などのデータも追加したマーケティング全体の分析など拡張していくことが重要です。デジタルマーケティングは、マーケティングの中の一部分であることを忘れないようにしましょう。
Webサイトからマーケティングまで、クライアントのニーズに合致するレポートを作成します。お気軽にお問合せください。