デジタル化が進むマーケティング部門の課題の見つけ方

デジタル化が進むマーケティング部門の課題の見つけ方

マーケティング部門では、他社との差別化を図るとめに「市場調査」「マーケティングリサーチ」などに取り組み、消費者の潜在ニーズを掴んだり、市場のシェア率や新規参入の可能性を調査したりします。市場調査の結果を分析し、競合他社との差別化ポイントを洗い出し、訴求点を考え、マーケティング戦略を策定します。そうして策定されたマーケティング戦略に基づいて、マーケティング戦術(打ち手)を立案し、各施策を実施していきます。

こういった市場調査を基に、マーケティングにおける企業の課題を改善できると考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、自社のマーケティング活動自体に課題があった場合、「市場調査」「マーケティングリサーチ」を行っても、その答えにたどり着くことは難しいと考えられます(自社の課題を客観的に調査、分析することは実際なかなか難しい)。

今回は、何かモヤモヤする、噛み合わないという課題を抱えているマーケティング担当者のために少しでもヒントになるようマーケティングにおける課題の見つけ方を紹介します。

「市場調査」「マーケティングリサーチ」はマーケティング活動の課題を見つけられるのか?

マーケティング戦略を策定する上で「市場調査」「マーケティングリサーチ」などの調査や分析が必要と考えられ、多くの企業で取り組まれています。調査前の仮説と調査の結果が異なったり、新しい発見をしたり、市場調査の有効性はマーケターなら一度は経験していることでしょう。

この市場調査もマーケティングリサーチも対象は消費者や市場です。

市場調査とマーケティングリサーチは、何が異なるかというと、実態把握(これまで)なのか、未来のニーズの探求(これから)なのかという違いがあります。市場調査は商品・サービスの”これまで“の実態を把握する目的で活用され、マーケティングリサーチは“これから“の商品・サービスの構造を作り上げていく目的で活用されます。

市場調査の活用例

  • 満足度調査(顧客・従業員)

  • 販促調査

  • 価格調査

  • 商品開発調査

  • ブランドイメージ調査

市場調査で分かることの例

  • 想起率

  • 商品のシェア率

  • ブランドの認知率

  • 顧客満足度

  • 競合サービス・割合

  • 日本・海外での利用率

  • 新規参入企業

  • トレンドの変化

市場調査では、定量調査・定性調査・デスクリサーチ(国が行った統計や出版物、調査会社やシンクタンクなどがすでに発表している調査データの分析)の3種類の手法があります。

市場調査の結果はマーケティング戦略で活用される一方で…

市場調査の結果からマーケティング戦略を検討する際、フレームワークを用いて、競合他社との差別化を洗い出したり、訴求点を検討します。マーケティング戦略の教本でよく紹介されるフレームワークとしては、3C分析や5フォース分析、SWOT分析、STP分析、4P分析(マーケティングミックス)などがあります。

マーケティング戦略の教本でよく紹介されるフレームワーク

  • 3C分析

  • 5フォース分析

  • SWOT分析

  • STP分析

  • 4P分析(マーケティングミックス)

どのフレームワークを用いることが適切か、よりふさわしいフレームはないかといった点についての検討も必要です。

そして、マーケティングを具体化していくプロセスにはコトラーが提唱する「R・STP・MM・I・C」というプロセスが有名です。

コトラーが提唱する「R・STP・MM・I・C」というプロセス

調査(R)のステップで市場調査を行い、市場・競合の観点からマクロ環境分析やミクロ環境分析を行います。セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP)のステップで、分析結果に基づき、市場の選択や分類(=セグメンテーション)を行い、自社商品を投入するセグメントを選定(=ターゲティング)したのち、提供する商品の他社との優位性(=ポジショニング)を明確にします。マーケティングミックス(MM)のステップは、R、STPで明確化された戦略を具体化するステップで、フレームワークを用いて情報を整理することが一般的です。

こういった分析を経て、市場の状況を踏まえて、自社のポジショニングを考え、どのような訴求をしていくのか考えます。

しかし、市場調査の結果を基に戦略を策定したけれども、なんだかモヤモヤしている。このモヤモヤは何かと考えると、本質的な課題が市場調査からでは浮かび上がってこなかったことが原因ではないでしょうか。

いくら市場調査を行ってもマーケティング活動における課題が解決されていないと感じている場合、本質的な課題の把握にズレがある可能性があります。消費者や市場をいくら調査してもマーケティング部門そのものの課題は分析できないでしょう。

マーケティング活動の本質的な課題の捉え方がズレている可能性

マーケティングのミッションをサービスや商品が売れるための仕組みを作ることと定義すると、企業が顧客に自社の商品やサービスを知ってもらい購入してもらうまでには、サービス企画、サービス開発、生産・構築、営業、販売のプロセスがあり、マーケティングはそれらの機能を統合する役割を担っていると言えます。

その昔、広告代理店が宣伝や広告の仕事を「点と点を結ぶ」という表現をしていました。(ここでいう“点”とは、消費者に商品の価値を知ってもらうことを点と点を結ぶという表現にしたのだと捉えています。)つまり、従来の広告・宣伝・マーケティング部門が考える「点と点を結ぶ」は、ブランドやサービスの認知=マスマーケティングに焦点があたっていたということができます。

しかし、時代は変わりチャネルが増えて、生活様式も多様化が進み、企業が様々な課題に直面する中で、マーケティング部門の機能として求められることも増えていると感じます。単純に競合と差別化して、サービスの価値をターゲットに訴求し、認知を広げるマスマーケティングだけではなくなり、マーケティング自体もデジタルを軸としたアプローチに変化しています。結果、マーケティング部門も複数のファンクションを持つ必要があり、マーケティング戦術の実施には高い専門性が求められるようになりました。

例えば、マーケティング戦術の実施には、従来のマスメディアによる「広告宣伝」、自社のWebサイトからの集客を増やす「Webマーケティング」、自社サイトを中心にさまざまなシステムやチャネルと連携しパフォーマンス最大化する「デジタルマーケティング」、オフラインとデジタルマーケティングの融合を考える「プロモーション」などの機能別にチームがあり、専門性が求められる企業も多くなっています。さらに売れる仕組みを作り続けるためには、販売プロセスに関わる部門(営業、カスタマーサービスなど)と協力し、全社的なマーケティング活動を俯瞰的にコントロールする必要があります。

デジタル化したマーケティングに適した組織体制を構築することも一つの鍵でしょう。各社のマーケティング部門の位置づけは様々ではありますが、マーケティング専門の組織の中でその役割を担うほうが機能しやすくなる傾向があると感じています(専任の方がそれぞれの領域に注力することでき、専門性を発揮しやすくなるからかもしれません)。既存の営業部門や管理部門の下にマーケティング組織をつけても、なかなか力は発揮できず、マーケティング活動そのものが軽視されているような組織は、見直したほうが良いかもしれません。

また、デジタル化した昨今のマーケティングはルーティンになりがちで、タスクをこなしている印象も強くなりがちです。「タスクをこなしている人たち=マーケティング」と認識されてしまうと、マーケティング業務に従事する人たちのモチベーションは下がってしまいます

中長期的な企業の売上を見据えて不特定多数とコミュニケーションを取っていることを会社に理解してもらい、横断的にマーケティング活動が実施されることが理想です。

このように企業によって異なった課題をマーケティング活動において抱えています。マーケティング活動そのもの課題を見つける方法は、自社の機能別の専門性、チームワーク、組織体制などを対象に調査。分析を行い、マーケティング活動における本質的な課題の見つけることが必要です。

自社のマーケティング活動における本質的な課題の見つけ方

マーケティング活動は、全社的なマーケティング戦略と、マーケティング戦術の2つがあると考えます。さらにマーケティング戦術の実施は、未購入者(潜在顧客と見込顧客)と購入者(既存顧客)への施策に分けて考えられ実施されます。

つまり、「マーケティング戦略や運営体制」、「新規獲得施策の診断」、「LTV(ライフ タイム バリュー:顧客生涯価値)施策の診断」の3つの診断を行うことで俯瞰したマーケティング活動の現状を把握することができるでしょう。

マーケティング活動そのもの課題の見つけ方は下記の3つがポイント

  • マーケティング戦略や運営体制

  • 新規獲得施策

  • LTV施策

FLOURISHでは「マーケティング戦略や運営体制」「新規獲得施策の診断」「LTV施策の診断」を分析し、自社のマーケティング活動の現状把握を行えるマーケティング診断ツールMarketingSuiteを開発しました。

Marketing Suiteは、各ポイントを5分野に分けて、全15分野に対して、相対的な診断を行うことができます。

Marketing Suiteのメリット

Marketing Suiteでは、診断に紐づくマーケティング戦術、つまりマーケティングの打ち手に関しても、現状を俯瞰的に把握できる仕組みになっています。大きくマーケティングの戦術(打ち手)は、10くらいに分類できます。「全体の設計や運営の診断」「新規獲得施策の診断」「LTV施策の診断」の結果を、さらに戦術と紐づけて診断するとどんな状況か、大まかな把握をすることで思わぬ弱点や改善ポイントが見えてくると考えます。

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