Shopifyが人気?B2B eコマースのアーキテクチャを踏まえた選定ポイントは?
eコマースはホスト型(Hosted)と自社構築型(Self Managed)の大きく2つに分かれます。
ホスト型(Hosted)はサービス提供事業者がサーバーやシステムを管理しているSaaS型サービスです。
自社構築型(Self Managed)は自社でサーバーやシステムを構築・運用する方式です。
それぞれの主なプラットフォームを紹介します。
ホスト型(Hosted) | 自社構築型(Self Managed) |
---|---|
Shopify | WooCommerce |
Big Commerce | Magento |
Squarespace | Prestashop |
ホスト型eコマースは、従来の自社構築型eコマースと比較して、必要な知識やスキルが大幅に軽減されています。
とは言っても、ホスト型eコマースも全くの知識ゼロで始めるのは難しいです。カスタマイズやAPI連携を行うためには、スキルは必要になります。また、eコマースサイトのアーキテクチャを設計し、ビジネスプロセスを策定し、効率化とUXの向上を図るためには、総合的なノウハウも必要になります。
「簡単に、誰でも、知識がなくても始められる」という言葉に低価格を連想し、飛びつきたくなるかもしれません。しかし、規模が大きくなるほどカスタマイズやAPI連携などが発生し、0からスキルなしで始めるのは難しく、キャッチアップも必要になるでしょう。特に低価格に飛びついてしまうと、ビジネスプロセスや安全性で期待値を下回る結果になると思われます。
eコマースはどのプラットフォームが人気なの?
主要な調査機関による最新情報を総合すると、WooCommerceは依然としてトップシェアを維持していますが、その差は縮小傾向にあります。
Statista: WooCommerce 38.7%、Shopify 10.3%
BuiltWith: WooCommerce 34.5%、Shopify 9.1%
CMS Critic: WooCommerce 25.4%、Shopify 8.2%
下記のグラフから分かるように、Shopifyは、世界のトップeコマースプラットフォームの中で第4位にランクされています。(グラフデータはStatistaを引用)
WooCommerceは、WordPress用のオープンソースECプラグインとして、2011年にリリースされました。WordpressもWooCommerceも自由度が高く、無料でも使える点も導入しやすい点でしょう。また、下記の図からも分かるように、Wordpress人気が理由の一つ。コンテンツ管理システムを使う世界中のサイトのうち62.7%、日本語のwebサイトうち82.8%がwordpressを使っています。Wordpressユーザーの多くが、無料でも使えるWooCommerceに魅力を感じていることがわかります。(下記の図表はW3Techsを引用)
規模の大きいサイトでは形勢逆転、Shopifyがリード
一方で、トラフィック数で世界上位100万のライブウェブサイトに限定したデータを確認します。世界上位100万のライブウェブサイトおけるeコマースの占める割合は、25%です。
さらに、eコマースのうち23%がShopifyです。以前はWooCommerceのシェアが大きかったのですが、Shopifyが逆転した形になります。(下記の図表はBuilt withを引用)
この結果からは、規模の大きいECサイトではセキュリティ面、効率性などを考慮してShopifyを利用していることが伺えます。他にも決済ごとにかかる手数料も規模が大きくなれば、気にならないといったことも挙げられるでしょう。
Wordpressはサイバーアタックされやすく、wordpressを構築するサーバーのセキュリティを強化する必要があります。一方で、Shopifyはサーバーのセキュリティからは手離れできることは大きなメリットになります。
アーキテクチャ(構造)の違いから考える、eコマースの選定基準
ホスト型(Hosted)か自社構築型(Self Managed)か
大きな違いはサーバーやシステムが用意されているかどうかです。自社構築型ECは、アプリケーション層やサーバー、ネットワーク、データベースを含め、すべての基盤を自社で構築・運用する必要があります。
ホスト型の場合は制限がかかったり、リプレイスを将来する際にベンダーロックされていたりといったリスクがどこまであり、許容できるのかを知っておく必要があるでしょう。
自社構築型はセキュリティ対策を独自でやらなければいけないので、サーバーやネットワークの設計、監視、保守までどのレベルで行うか検討し、費用対効果を天秤にかけてみる必要もあるでしょう。
マイクロサービスアーキテクチャか、モノリシックアーキテクチャ(ヘッドレスか、フルスタック開発か)
ヘッドレスアーキテクチャは、フロントエンドとバックエンドを分離するので、マイクロサービスアーキテクチャと相性が良く、より柔軟で拡張性の高いシステムを構築することができます。APIを介して、CRM、ERP、会計ソフトなどの基幹システムと連携することができるため、B2B eコマースでヘッドレスアーキテクチャが注目されています。
従来型の構築方法であるフルスタック開発は、Webアプリケーション開発のすべての層 (フロントエンド、バックエンド、データベースなど) を担当する開発手法です。フルスタック開発によく用いられるアーキテクチャは、モノリシックアーキテクチャ。モノリシックアーキテクチャは、ソフトウェアシステム全体を単一の大きなアプリケーションとして設計・構築する方法です。
近年では、マイクロサービスアーキテクチャなどの分散型アーキテクチャも注目されており、開発者はこれらのアーキテクチャにも対応できるスキルを身につけることが重要です。
電子商取引データをどのように保存するか
リレーショナルデータベースとNoSQLデータベースにするのかで違います。
プログラミング言語、フレームワーク、ライブラリはどれにするのか
B2B 電子商取引に最適なプログラミング言語を選択するもう 1 つの要素は、便利なフレームワークとライブラリが利用できるかどうかです。
プログラミング言語: Java、Python、PHP、JavaScriptなど
フレームワーク: Spring Boot、Django、Laravel、Reactなど
ライブラリ: Apache Solr、Elasticsearch、Amazon S3など
B2B eコマースの選択基準とは?
予算次第な部分はありますが、自社構築型(Self Managed)は大きなコストとリソースがかかります。近年は、ホスト型(Hosted)での開発を行い、ビジネスシナリオの策定や運用にリソースを使うようなことも可能になっています。
また、決済機能であるStripeやPayPalに、CMSであるContentful、フロントエンドのフレームワークReact、サーバレス開発を可能にするサーバーNetlifyを組み合わせてもB2B eコマースは構築できます。このような組み合わせは、ホスト型寄りですが、ECサイトに必要な機能はすべて整っているわけではないので、技術は必要です。サーバー管理がこの場合も手離れできるのはメリットがあります。ある程度の専門知識は必要ですが、自社構築型よりも少ないです。
ホスト型(Hosted)でShopifyなどのSaaSサービスは、アップデートも行なわれるので、保守や運用面でもコストが削減できます。
また今までは受発注管理を自社構築している企業も、ホスト型(Hosted)にし、マーケティング機能と連携することができます。今までバラバラだった機能を統合していくことで、効率化とユーザーエクスペリエンスの向上、さらにはデータの活用まで可能性は広がります。