AI 搭載のデザインツールの活用、美大出身のデザイナーはどう思うのか?

AI 搭載のデザインツールの活用、美大出身のデザイナーはどう思うのか?

デザインの民主化やデザイン作業の効率化といった文脈で語られるようになった「AI」。AIをクリエイティブに活用することはMUSTであり、正しいのでしょうか。

一方で、デザイナーは完全にAIに置き換えてしまうのではないかと懸念する人もいます。クリエイティブな企画やデザインの職種の人にとって、感情や意見はさまざまです。

一つだけ言えることは、自分たちが協働できるのか実験を繰り返してから考えを持つこと。「コンサルティングファームのアンケートの調査では…」「ネットニュースでは…」という見聞きしたことから考えるだけではなくて、自分たちがどう思うか。どう捉えるか。

ということで、今回は某美大学出身のデザイナーがAI 搭載のデザインツール「Microsoft Designer」を使ってみました。

デザイナーが自由に作ったデザインと、AI 搭載のデザインツールで作ったデザイン。どちらのクオリティが高くなるのでしょうか。

まず最初にAI搭載のデザインツールの説明から始めます。

AI 搭載のデザインツールとは

AIデザインツールは、人工知能(AI)の技術を活用してデザインを自動生成したり、デザイン作業を効率化したりするツールです。近年、デザインの民主化や、デザイン作業の効率化を目的として注目を集めています。

自動生成機能、豊富なテンプレート、豊富な写真・イラスト・アイコンなどの素材があるのが特徴です。日本で多く利用されている(もしくはされるだろう)AI 搭載のデザインツールは下記の4つだと想定されます。

Canva

Adobe Suiteなどのグラフィックツールが一般人には複雑すぎるという前提で設立された会社。StableDiffusion を利用した画像ジェネレータをベータ版で提供しています。 無料で利用できるブラウザベースのデザインツール。豊富なテンプレートと素材を提供し、初心者でも簡単にデザインを作成できます。

Microsoft Designer

2020年リリースされたMicrosoft 365 に含まれる AI 搭載のデザインツール。AI による自動生成機能が豊富で、初心者でも簡単にデザインを作成できます。

Canvaを追い越そうとしていると言われています。その理由は、未来を感じるインターフェイスとCanva よりも操作が簡単なことが挙げられます。

DALL-E 2 を利用した画像生成機能を搭載しています。

Adobe Express

Adobeが提供する AI 搭載のデザインツール。写真や動画編集機能も搭載しており、高度なデザインを作成できます。

DALL-E

DALL-E は、OpenAI が開発したテキストから画像を生成する AI ツールで、この場合はDALL-E は Canva や Microsoft Designer よりも手がかかりません。ChatGPTは月20ドルのChatGPT Plusと、企業向けのEnterpriseの2つの有料プランでDALL-E 3を利用可能です。

DALL-E 2とStable Diffusionの抱える課題

どちらもAI Art softwereとして注目されています。CanvaはStableDiffusion、Microsoft DesignerはDALL-E 2を利用しています。

DALL-E 2は、完全なオープンソース機能を採用していないため、誰でも自由にモデルを改良したり、利用したりすることができません。一方、Stable Diffusionは、モデルが完全にオープンソース化されており、誰でもアクセスできます。DALL-EもStable Diffusionも差別的な表現や偏見、著作権侵害などの倫理的な問題を抱えていますが、利活用のスピードは早いです。

AIモデルは日々進化しており、これらの問題点も将来的には解決されることが期待されます。主に解決されるべき事柄は下記になります。

  • AIモデルの開発者は、倫理的な問題を防ぐために、モデルの開発過程やデータセットについて透明性を確保する必要があります。

  • AIモデルのユーザーは、倫理的な問題について理解し、責任を持ってモデルを使用する必要があります。

AI 搭載のデザインツールをデザイナーが使ってみたら?!

今回はデザイナーがAIと協働して、Youtubeのサムネイル制作をしました。

AIとの協働というテーマで検証するにあたり、FLOURISHではビジョンに設定した下記に合致するのかを評価することにしています。

  • リソースを最大化し、効果を最大化する

  • データを活用し、アクションまで求める

  • クリエイティブを補完する

  • ブランドの定義(もしくは理解)をし、ブランド体験を開発する

  • 能動的なアクションを誘発する

非デザイナー視点も踏まえて追加し関係する3つの項目を評価してみた結果は下記になります。

AIの活用 評価

デザイナーの場合は、目指すイメージがあります。一方で、非デザイナーの場合は、生成アートツールは一見とっつきやすいと思いますが、イメージが具体的ではないために納得が行くまで生成しなければならないので余計に時間がかかってしまい、なんとなく雰囲気的にチョイスしてしまうことも考えられます。

デザイナーが感じたメリット

雑でもいいから早く作りたい場合は使える

社内資料など、手早く大量に作りたい場合などは向いているのかもしれない。ただ、生成自体に数分かかることもある。

大量に草案を出せる

素材探しの時間は短縮できる

素材サイトで合う大きさの写真を探すという工程が省け、ある程度の趣旨に合った状態の素材を提案してくれる場合もある

デザイナーが感じたデメリット

生成クオリティにムラがあるので、人間による調整が必要

同じ文言で入力しても、なぜかサイズが全然違うものができてきたりことがあり、不完全さがあったりする。パワーポイントで作ったような印象があり、最終的には人間による調整がかなり必要となる。

日本語フォントが少ない

特に日本語生成では、そのままだと雑なデザインという印象を受ける。英語のフォントが多様ですが、日本語フォンとは少ない。

イメージに近い案が出るまで生成しなければならないので余計に時間がかかる

なかなか目標に近いものが作れない場合はかなりストレスが溜まる。自分で一から作った方が早いと感じる可能性がある。ある程度デザイン知識がある人にとっては思い通りにいかないストレスの方が大きい

現段階のレベルではAIのみでは難しい

まだAIのみでは完全な美しいデザインを作ることは難しいと感じた。

デザイナーにによるYoutubeのサムネルを作成中の動画です。

AIとデザイナー、どっちのデザインがお好きですか?

上側が、AIと協働したサムネイルです。下側が、デザイナーが通常通りに作成したサムネイルです。

AIとの協働

やはり上は少し意図として幾何学模様である「●」は何か?写真を丸く切り抜く必要はあるのか?写真の後ろの◯はなぜあるのか?と考えるとロジック的には説明しきれないところがあります。

AI 搭載のデザインツールの利活用について

今回はデザイナーによるAIとの協働を模索しました。結果としてはグラフィックデザイナーをロボットに置き換えることはできないという結果ではありました。

デザインプロセスは下記の3つの段階を経ることになります。

  • 1) ニーズの分析(ターゲットの理解、競合調査など)

  • 2) 文脈(コピー)を考慮したアプローチを模索

  • 3) プロトタイピング制作と表現

AIの活用ができる部分は3)のプロトタイピングの部分であると考えられます。ただ、ミスリードしないように、適切なプロンプトを入力し、具体化しすぎずに抽象的なイメージとして使えるようなレベルで作成するように注意が必要です。

最終的には、グラフィック デザイナーの仕事における AI に関する意見は異なる可能性があり、AI を創造的なプロセスにどのように組み込むかを決定するのは各デザイナー次第です。

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