2024年マーケティング活動のインサイトと傾向、今マーケターは何を考えているのか。

2024年マーケティング活動のインサイトと傾向、今マーケターは何を考えているのか。

インフレの影響が個人消費に影を落としており、予測は楽観論と悲観論に分かれています。消費者は今年負債を減らし、より支出を削減し、モノから経験へと考えている人も増えています。

振り返ると、世の中の雰囲気としては、継続できたことに、再開できたことに重点が置かれたような1年。長期的な戦略よりも短期的な戦術を優先するサイクルになっているのではないでしょうか。パンデミック、エネルギーや原材料価格の高騰などの影響により将来の見通しが立たないだけでもなく、パフォーマンスマーケティングの台頭もあり、長期より短期的なサイクルに陥りやすくなっています。戦略的思考を重視する姿勢に戻そうとしていたいが、その方向性を変えるのは難しい。

そんな中、2024年は何をすべきなのか。もちろん全員が同じ状況でもなければ、同じ考えはしていませんが、他のマーケターは何を考えているのか。2023年の秋に行われた調査から2024年のマーケティングを洞察します。

メディア予算に明るい兆候あり、主要ブランドの6割が増やす予定:WFAの調査

World Federation of Advertisers (WFA:世界広告宣伝業連合)は、メディア監視および分析を行っているEbiquityとメディア予算に関する調査を行い、メディア予算に関するレポートを2023年11月7日に公開しました。回答者は92 社で、各企業は平均 7 億ドルの広告費を費やしている主要なブランドです。全企業の合計広告費は約 500 億ドルに相当します。

主要ブランドの6割がメディア予算を増やす

60%が2024年に世界のメディア予算を増やす予定だと回答。うち14% は前年比で大幅に増やすと回答しています。昨年の調査では、年間予算を増やすと回答した回答者がわずか 29% 、昨年と比較すると劇的な増加です。

主要ブランドの6割がメディア予算を増やす

ブランド構築への回帰

「ブランディングマーケティングを増やすか、パフォーマンスマーケティングを増やすか」といった質問もありました。ブランディングを増やす割合は35%、パフォーマンスマーケティングを増やす割合は21%となりました。

 ブランド構築への回帰

昨年の調査とは逆転しました。昨年は21%がブランド構築への支出を増加させるのに対して、28%はパフォーマンスマーケティングの支出を増やすと回答しています。

マーケティングのメディア投資は、デジタルに多くの予算が割かれています。デジタル市場での成長を持続可能にするために、ブランドを高めることが必要だと考えられていることがうかがえます。確かにブランド力や信用により、パフォーマンスマーケティングでかかるコストは大きく変わってきます。

ブランディングに重点を置いて何をする?

マーケティング活動の予算の変動

地上波テレビ (56%) と印刷物 (64%) の予算は 2024 年に減少すると予想されています。RMN(Retail Media Network)、CTV(Connected TV)、デジタル屋外広告(DOOH)などの新興分野の台頭により、マーケティング担当者はこれまで以上に多くの広告チャネルを抱え、複雑さが増すリスクがあります。

メディア活動の課題に対する取り組み

最適な出稿によるCO2の削減

「メディア活動による CO2 排出量を測定し、削減する試み」は、回答者のほぼ 5 分の 2 (37%) はすでに着手しています。デジタル テクノロジーは世界の温室効果ガス総排出量の 4% を占めています。研究によると、デジタル広告キャンペーンが注目時間を最適化すると、二酸化炭素排出量が平均 63% 削減されることがわかっています。

プログラマティックサプライチェーンによる広告配信

広告主の3分の1近くが、2024年と2025年にプログラマティックサプライチェーンのログレベル分析を実施する予定です。直接的で透明性の高いプログラマティック配信による、透明性と信頼性の高い広告取引を望んでいることがわかります。

広告目的のために作られたサイトに掲載されていないかの確認も2024年と2025年に32%が行う予定だと回答しています。

誤った情報の監視は58%の回答者が実施していると答えています。

ブランドセーフティの設定とリストの見直しは、すでに90%の回答者が行っています。

ビックテック以外への投資、エコシステムの推進

また、回答者の27%は、エコシステムを推進するために「ビッグテック(Google、Facebook、Microsoftなどの大手テクノロジー企業)」以外への投資を2023年に始めました。

メディア活動の課題に対する取り組み

テクノロジーの活用が成果を上げている:The CMO Survey

2023年秋に行われた「The CMO Survey(第 31 回)」は、米国企業のマーケティング リーダー 316 人(96% は副社長レベル以上)をサンプルにした調査です。

2023年のマーケティング予算は抑制された

企業収益に占めるマーケティング予算の割合は、2023年春の調査では 10.9% でしたが、 2023年秋の調査では9.2% に低下しました。 2023年のマーケティング予算はインフレなどの影響を受けて、抑制されたことがうかがえます。

AIの活用が進んだ2023年

AI 導入に関して、マーケターの 94.1% が過去 3 年間にこのテクノロジーを活用し始め、60.4% はここ1年以内です。

「マーケティング活動のどこにAIを活用しているか」という質問では、下記のような結果になっています。

マーケティング活動のAIの導入

コンテンツのパーソナライゼーションとコンテンツ作成が、マーケティングにおける AI の主な用途となっています。コンテンツ作成では、ブログや Web サイトのコンテンツ、ソーシャル メディア、電子メール マーケティングに AI ツールを使用することがリストの上位にあります。

配信コンテンツと配信タイミングを最適化、プログラマティック広告、顧客のインサイトの予測分析、ターゲティングの決定へのAIの活用は、回答者の3 分の 1に留まっています。

プラスの効果として、マーケティング リーダーは、販売生産性が 6.2%、顧客満足度が 7.0% 向上し、マーケティング諸経費が 7.2% 減少したと報告しています。

2024年の動向のまとめ

マーケティング予算は徐々に元に戻っていく?!

マーケティングに関しては、2024年以降は徐々に予算を取り戻していくことが予想されるような結果になっています。

また、マーケティング活動は少しずつ変化し、10年前を振り返ると大きな違いになっています。特に、AIやデータサイエンスなどテクノロジーの活用によって変化していくことが予想されます。

コスト削減が素晴らしいという文化の日本では、業務効率化とコスト削減といった文脈でのデジタルの導入は相性は良いでしょう。ミクロのコスト削減が、中長期的な利益や売上にとっては良いのでしょうか。従業員は幸せなのでしょうか。

人よりロボットがやった方が安いし、正確かもしれない。行き着くところ「人」はいらないとなってしまいかねない。それでも未来を考えて「人」を選ぶべきシチュエーションもあるのではないでしょうか。

FLOURISHは、クライアントと一緒にどんな未来を作りたいかを考えて、AIやテクノロジーを導入していくことが良いと考えています。

ミクロな視点に陥らずに中長期的な視点で

マーケティング施策がミクロに陥りがちな理由はデジタルマーケティングがいつでも軽微な変更を繰り返せるなどが挙げられます。しかし、それだけでもないように感じる昨今です。

デジタル化によって連絡やコミュニケーションの取り方、仕事環境も変わりました。いつでも連絡を見ることができ、どこでも仕事ができるようになりました。それは、24時間、働けることを意味します。そのような環境の下では、トップダウンの支配的な状況に陥りやすく、短時間で指示や連絡が飛び交うことが常態化し、ミクロな視点で短期的な施策を連発するようなマーケティング活動に留まってしまいます。

ミクロな視点で考えられる施策はインパクトがそんなにない傾向があり、非効率なサイクルに陥ってしまいます。

日本の国民性を考えると、気をつけるべきポイントになってくるのではないでしょうか。

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