「メディア戦略」とは何か? アプローチやメディアタイプによるメディア戦略の種類
メディアプランの成功の裏側には、考え抜かれた緻密なメディア戦略があります。
メディア戦略とは何か、メディアのタイプ(メディアの種類)、注目のメディアタイプを紹介します。
メディア戦略とは何か?
メディア戦略とは、マーケティングの目標を達成するための戦略の一種です。
メディア戦略は、さまざまなメディアタイプを活用し、視聴者にコンテンツを配信し、ブランドメッセージを伝え、コンバージョン率を高めるためのアクションプランです。
メディアも乱立し、ターゲットとなるユーザーにリーチすることが難しい現代、ネームバリューや雰囲気に惑わされることなく、メディアを見極め、メディア戦略を立てることは重要です。
メディア戦略の種類
従来のメディアタイプは、マスメディアや店頭でのSP(セールスプロモーション)、ダイレクトマーケティングがありました。
基本的にはアプローチの違いからメディア戦略は下記の2通りに分かれます。
メディア集中戦略
メディア分散戦略
メディア集中戦略では、わずか1~3種類のメディアに集中して、広告費を投下します。
たとえば、複数のソーシャル メディア プラットフォームを活用してマーケティングリソースを分割するのではなく、特定のソーシャル メディア プラットフォームでマーケティングを行うことを選択する場合があります。そうすることによって、予算が足りない場合でも、特定のターゲットと長期的に分散させずにリーチすることが可能になります。
また、ターゲットが狭い商材もメディア集中アプローチとの相性が良いでしょう。
メディア分散戦略は、幅広い視聴者にリーチするためにさまざまな種類のメディアを使用するアプローチです。このアプローチは、1〜3つのメディアではターゲットユーザーにリーチできない場合に最もよく使用されます。メディア分散アプローチを採用している企業は、テレビ、ラジオ、チラシ、ソーシャル メディア、検索エンジンなど、いくつかの異なるメディアカテゴリに広告を掲載することがあります。
この戦略を使用すると、企業は自社の商品やサービスに興味があるかどうかに関係なく、多くの消費者にリーチすることができます。またこの戦略にはある程度の金額の投下が見込める場合に検討されます。
「メディア集中戦略」「メディア分散戦略」は、ベーシックな区分になり、どちらの戦略を取るかで大きく戦略と戦術が変わってくるでしょう。メディア集中戦略を取るか、メディア分散戦略を取るかは、マーケティング活動において大きな違いになります。
メディアタイプの変化、メディアタイプごとのメディア戦略
アプローチ方法の異なる2つメディア戦略を紹介しましたが、メディアタイプ(メディアの種類)ごとの戦略も「××××戦略」と名付けられ、どれもマーケティング業界では流行語になっていました。例えば、オムニチャネル戦略。2020年以降はそこまで騒がれることはなくなりました、それ以前はどこのイベントでも「オムニチャネル戦略」という言葉を見かけました。
「××××戦略」が増えた――背景としては、マーケティング活動に使用するメディアタイプも増えていき、消費者の活動も複雑になってきたことが挙げられるでしょう。
「トリプルメディア戦略」も一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。トリプルメディアとは、デジタルマーケティングにおけるオンラインメディアの分類方法で「オウンドメディア(Owned Media)」「アーンドメディア(Earned Media)」「ペイドメディア(Paid Media)」のことです。SNSの台頭で、アーンドメディアの一種として「シェアードメディア(Shared Media:共有メディア)」が加わりました。
さらに近年注目を集めているのが、RMNをはじめとしたコマース メディア。コマース メディアは、メディア インプレッションとコマース トランザクションが一体となった新しい形式の広告です。有名なRMNとしてはAmzonが挙げられます。
時代に合わせて様々な戦略が登場しますが、シンプルに考えると全てメディア戦略なのです。
広告戦略(Paid Media:ペイドメディア)
アーンドメディア戦略(Earned Media:アーンドメディア)
オウンドメディア戦略(Owned Media:オウンドメディア)
オムニチャネル戦略
コマース メディア戦略
広告戦略(Paid Media:ペイドメディア)
ペイドメディアは、消費者に商品を直接宣伝するために、広告掲載料を支払います。一般的には、広告・宣伝と言われる領域です。
広告・宣伝と聞くと、マスメディアを思い浮かべるでしょう。テレビやラジオ、新聞、雑誌のマス4媒体で、広告掲載料を支払う出稿はペイドメディアになります。それ以外に、有料検索広告やソーシャルメディア広告などのWeb広告、Webメディアへの広告記事などオンライン広告が挙げられます。
また、屋外看板やタクシー広告、イベントなどのスポンサーシップも含まれます。
これらの広告の目的は、さまざまな消費者に見てもらうことです。広告が掲載されるメディアの種類によっては、消費者がこれらの広告を無視できないため、コンテンツが視聴者に影響を与える可能性が高くなります。
また、広告費を支払って露出させることも目的としていて、コストをかけている企業側の意向がはっきりと反映されます。
ペイドメディアの例
ペイドメディアの例は下記になります。
マス4媒体の広告出稿
ディスプレイ広告
インフルエンサーとのコラボレーション
屋外看板
タクシー広告
イベントの協賛
広告が多すぎたり、しつこくすぎたりすると、イメージが低下する可能性があります。広告戦略は、リーチの拡大や認知だけでなく、ブランドイメージを向上させるために気を配ることが大切です。
オウンドメディア戦略
オウンド メディアとは、自社やブランドで保有するメディアの総称 です。オウンドメディア戦略とは、企業が自社のメディアを使用して自社の製品やサービスを宣伝またはマーケティングする戦略のことです。
たとえば、製品発売に関する情報を会社のブログに投稿することは、オウンド メディア戦略の一種です。
オウンドメディアチャネルを増やすことで、企業はそれらを継続的な資産として、より多くの潜在顧客にリーチできるようになります。
オウンドメディアの例
ECサイト
SNSアカウント
紙メディア(カタログ、パンフレット)
Webサイト
独自に運営するメディア(狭義でのオウンドメディア)
アーンドメディア戦略
トリプルメディアの一つであるアーンドメディア(Earned Media)は、ユーザーや消費者自身が情報を発信するメディアです。広告のように企業が一方的に宣伝しているペイドメディアと違い、消費者の信頼を獲得しやすい情報になります。
アーンドメディアに含まれるシェアードメディアとは、SNS(ソーシャルメディア)のことを指します。FacebookやTwitterなど消費者が起点となって情報発信し、コミュニティ内で共有(シェア)・拡散するタイプのメディアです。支払いや手数料をかけずに、第三者によって生成されるため、メディア戦略の中で最も優れたタイプの 1 つと考えられています。
アーンドメディアの例
アーンドメディアの例は下記になります。
ブログ投稿
ソーシャルメディアのシェア
口コミやレビュー
ソーシャルメディアでのコメント
新聞や雑誌の記事
ソーシャルメディアのリポスト
アーンドメディアを活用するにあたり、インフルエンサーに対価を支払って自社商品やサービスの宣伝をお願いする場合は、ステマ(ステルスマーケティング)にならないように注意しなければなりません。
オムニチャネル戦略
オムニチャネル(Omni-Channel Retailing)とは、店舗やECサイト、SNSなど、オンライン/オフライン問わず、あらゆるメディアを活用して顧客と接点を作り、購入の経路を意識させずに販売促進につなげる戦略のことを指します。
コマース メディア戦略
コマース メディアのルーツは会員誌などの紙媒体ではないでしょうか。パブリッシャー(発行・配信に携わる事業者)が、自社の紙媒体に広告枠を設けていました。コマース メディアは自社のコンテンツをコマースに結び付けて消費者に強化されたエクスペリエンスを提供するパートナーシップです。
インプレッションを実際の販売に結び付け、その結果をフルファネル マーケティングにフィードバックできるため、注目されています。
「小売」メディア ネットワークを構築できるのは小売業者だけではありません。旅行およびホテル施設、電気通信会社、銀行、自動車メーカーが所有するファーストパーティデータと顧客タッチポイントは、RMNになるかもしれません。
メディアプランの成功の裏側
オムニチャネルやトリプルメディアという言葉は、マーケティング領域では一時期はブームのように流行り、使われていた言葉です。流行りの言葉が一人歩きをし、それぞれが独立した戦略のように感じてしまう人もいるのではないでしょうか。オムニチャネルやトリプルメディアもすべてはメディア戦略の一つです。バラバラのことであるように受け取られがちですが、コマース メディア戦略やオムニチャネル戦略はバラバラのことではなく大きくはメディア戦略になります。
メディアプランの成功の裏側には、メディアの特徴を把握し、自社のターゲットや目的に合わせてメディア戦略を検討する作業が必要です。メディア戦略をメディアプランに落とし込むプランナー、メディアバイイングを行うバイイング担当者も。
メディア戦略の立案から実施までお困りでしたら、お気軽にご相談ください。