コンテンツとは何?購買プロセスでのコンテンツの種類と活用法

コンテンツとは何?購買プロセスでのコンテンツの種類と活用法

コンテンツとは、人によって認識も違ってきます。BtoB企業では、イベントやセミナーで使うパワーポイントをコンテンツということもあるでしょう。これはBtoC企業を中心にしているマーケターには最初は理解に苦しむものでした。もっとクリエティブ要素を含むものをコンテンツを表現していたので、感覚の違いにびっくりしたことがありました。

今回はコンテンツとは何で、どういった種類のものがあるかを紹介します。さらに具体的にどのコンテンツが、どのようなケースで、活用すると効果的なのかを解説します。

「コンテンツ」という言葉の意味

BtoB企業のお打ち合わせでは「コンテンツ」という言葉を特に耳にすることがあります。BtoC企業とのお打ち合わせの場合、コンテンツというものが明確になっていることが多く、コンテンツという曖昧な表現をすることが少ないような印象があります。

「コンテンツを作りたいんだけど相談したい」という投げ掛けでは、コンテンツの言葉が広い意味を持っていて、必ずしもイメージが一致しないこともあると思います。コンテンツという言葉で話を進めようとしても話が進まないこともあるでしょう。コンテンツの定義を共有できるよう、話し合いの中でイメージしているコンテンツを具体的に伝え、打ち合わせの参加者がコンテンツに対して共通認識を持てるようにする必要があります。

コンテンツとは何?

コンテンツとは何か、言葉の意味から考えてみましょう。

コンテンツという言葉は、英語では「Content」と表現されます。contentは加算名詞としても、不加算名詞としても使われ、様々な意味を持っています。まずは英語での使われ方からコンテンツの意味を考えてみましょう。

  • 加算名詞「content」(単数形)として使う場合

食べ物や製品などの成分や材料の「含有量」を意味します。

  • 加算名詞「contents」(複数形)として使う場合

鞄や箱、部屋などの「中身」、本、手紙などに書かれた「内容」、書物の章や節を表す「目次」という3つの意味があります。

  • 不加算名詞「content」

スピーチ、小説、芸術作品などの「趣旨」「意図」「真意」、ウェブサイトその他の電子的媒体の「情報」という意味があります。

英語の「contents」「content」はさまざまな意味があり、明確にそれぞれ使い分けられることに対して、日本での表現されるコンテンツはボヤッとしているように思ます。

ビジネスでのコンテンツとは

ビジネスでコンテンツという言葉を使うシチュエーションでは、コンテンツビジネスとして使う場合コンテンツマーケティングとして使う場合に分けられるように思います。

コンテンツビジネスのコンテンツ、コンテンツマーケティングのコンテンツは何が違うのでしょうか。

コンテンツビジネスにおけるコンテンツとは

まずコンテンツ自体を販売しているコンテンツビジネスのコンテンツの種類を紹介します。

コンテンツビジネスでは、著作権を持つ動画や音声、漫画、書籍、記事、メールマガジン、アプリ、ゲームといったコンテンツを販売しています。

コンテンツビジネスにおけるコンテンツの種類

  • 動画…Youtube/Netflix/hulu/Amazonプライム・ビデオ/AbemaTV

  • 音声…Apple Music/Podcast

  • 漫画…コミックシーモア/めちゃコミック

  • 書籍…Kindleなど電子書籍/電子雑誌/電子新聞

  • メールマガジン…有料メルマガも(「堀江貴文のブログでは言えない話」が有名である)

  • アプリ…スタディサプリ/Studyplus

  • ゲーム…Playstation Now/DMM GAMES/TSUTAYAオンラインゲーム

BtoC企業の場合、コンテンツ=販売物になっていることが多く、著作権があります。この「コンテンツに対する著作権があるよ!」という認識は、コンテンツビジネスでは根付いています。

動画コンテンツの場合、著作者(映像を制作した人・組織)が意識せずとも著作物が完成した段階で権利が発生するものです。

例えば、ストーリー性のあるプロモーション動画は、映画に分類され、著作権は制作会社にあります。動画制作に携わったディレクター・プロデューサーを著作者とするケースが多いでしょう。

コンテンツマーケティングにおけるコンテンツとは

BtoB企業でよく使われるコンテンツの意味は、コンテンツマーケティングで使うコンテンツであることが多いです。BtoBもBtoCもコンテンツマーケティングは行っていると思いますが、BtoB企業ではコンテンツマーケティングを起点として、マーケティング活動が行われている企業も珍しくないでしょう。

コンテンツマーケティングの登場

コンテンツマーケティング自体は2011年頃に欧米で流行し、2014年頃から日本でも注目され始めました。コンテンツマーケティングが注目される以前はSEOとSEMが主役で、クリック単価を下げることがフォーカスされ、次にLPOやEFPによりCPAを改善することに注目は移っていきました。

コンテンツマーケティングの目的

コンテンツマーケティングは購入プロセスに合わせて、適切なコンテンツを用意し、顧客との関係を築いていくことを目的としています。つまり、コンテンツマーケティングは顧客を育てて、ファン化することがポイントだと言われていました。2014年頃からコミュニティーサイトの運営に乗り出す企業も増えました。

コンテンツSEOとコンテンツマーケティングの違い

コンテンツSEOとコンテンツマーケティングは混同されがちですが、厳密には違います。

コンテンツマーケティングでも有益な情報発信をすることも一つの施策としてあり、「即効性が低い」「検索の流入が期待できる」という点ではコンテンツSEOと近い部分があります。

コンテンツSEOとコンテンツマーケティング

上記の図のように、コンテンツSEOもコンテンツマーケティングに含まれます。

コンテンツSEOの目的は、ユーザーの検索意図を合わせた記事を作成し、情報を継続的に発信し、自然検索からの流入を確保すること、つまり集客です。

コンテンツマーケティングは継続的に顧客と関係性を構築し、顧客の育成が目的です。

つまり、コンテンツマーケティングがコンテンツSEOのように必ずしも顧客を集客することだけが目的ではありません。コンテンツマーケティングは、顧客の育成するプロセスにおいて集客やリード獲得など様々な目的が存在しますが、全体的には顧客の育成が目的です。

コンテンツマーケティングにおけるコンテンツの種類

  • バイラルコンテンツ

  • プロモーションビデオ

  • 著名人のコメントやレコメンド

  • 商品レビュー

  • イベント

  • ホワイトペーパー、ebook

  • 記事

  • インフォグラフィックス

  • プレスリリース

  • オンラインセミナー

  • 導入事例

  • 商品カタログ

コンテンツマーケティングは記事だけでなく、SNS・ソーシャルメディアを使って話題作りをすることも、ホワイトペーパーを配布することも、レコメンドを掲載することも。コンテンツマーケティングには、戦術となる手段は様々あり、各施策によっても目的がコンバージョン、集客、ブランディングなど変わってくることもあるでしょう。コンテンツマーケティングが顧客の育成であるので、フェーズによって目的も違ってくるので、当たり前といえば当たり前です。

コンテンツマーケティングには欠かせない消費購買モデル

ZMOT(ジーモット:Zero Moment of Truth)の発見

FMOT(エフモット:First Moment of Truth)という考え方がありました。この考え方を多くの企業に浸透し、FMOT専任の重役を配置する企業もあったほどです。

FMOT(エフモット:First Moment of Truth)

FMOT(エフモット:First Moment of Truth)

FMOTの消費購買モデルは、Stimulus(刺激)、Shelf(棚)、Experience(体験)という3つのステップから成り立っています。消費者が刺激を受け、店頭に足を運び、商品を購入して体験するというモデルです。

この消費行動モデルの中で、FMOT(最初の真実の瞬間)は、店頭で商品を購入すると決める瞬間Second Moment of Truth(2番目の真実の瞬間)は、自宅で製品を体験し満足を感じるかどうかだと考えられていました。

その後、Googleの調査で、消費購買モデルは3ステップではなく、Stimulus(刺激)、ZMOT、Shelf(棚)、Experience(体験)という4ステップの行動であるとわかりました。つまり、Stimulus(刺激)、Shelf(棚)の間にZMOT(ジーモット:Zero Moment of Truth)というプロセスが入るということを調査から発見しました。

ZMOTゼロ個めの真実の瞬間(Zero Moment of Truth)

ZMOT(ジーモット:Zero Moment of Truth)

ZMOTとは「ゼロ個めの真実の瞬間(Zero Moment of Truth)」という意味で、消費購買プロセスにおいてFMOTの前段階にある大事な瞬間です。

このGoogleの調査は2011年に行われ、消費者は購入前に平均10.4件の情報収集をしていることが明らかになりました。 つまり、店頭に行くまでに消費者は情報を収集していることになり、従来の広告では、興味を喚起することしか果たさないということになります。

このGoogleの調査により、店頭に行くまでに情報を適切に提供しく必要がわかり、これがコンテンツマーケティングの先駆けとなった概念と言えるでしょう。

Googleが2011年に発行したWinning the Zero Moment of Truthは、10年以上も前ですが、振り返ると懐かしくもあります。日本では2011年はマスメディアや口コミやチラシなどのプロモーションなどの効果がまだまだ大きく、2014年くらいになり、スマホが普及してからZMOTの考え方やコンテンツマーケティングの重要性に気づいていったように思います。

ZMOT以外にも消費購買プロセスをモデル化した有名なプロセスがあるので確認していきましょう。

近年の消費購買プロセス

インターネットやスマートフォンの普及によって、消費者の購買までのプロセスをモデル化した消費購買プロセスも変化していきました。消費購買プロセスを見ていきましょう。

AIDMA

1920年代にアメリカでサミュエル・ローランド・ホールが著作中で示した広告宣伝に対する消費者の心理のプロセスを示した略語です。

米国でより一般的に知られた類似の用語として1920年代に応用心理学の分野で米国のE・K・ストロングが提唱したセールスにおける顧客心理の段階のAIDAがあります。

1920年代はインターネットや携帯電話は普及していませんでした。そのため、アドバタイジングの目標は「いかに消費者に商品・ブランドのインパクトを与えて印象に残すか」でした。キャッチコピーが発達した時代でした。

  1. Attention(注目・認知する)

  2. Interest(興味・関心を持つ)

  3. Desire(欲求)

  4. Memory(記憶)

  5. Action(行動:購買する)

AISAS

2004年に電通が提唱した消費行動モデルです。消費者が自ら検索し発信する消費者の出現に伴い、消費者の能動的な行動を加えた消費購買プロセスです。

  1. Attention(注目・認知する)

  2. Interest(興味・関心を持つ)

  3. Search(検索)

  4. Action(行動:購買する)

  5. Share(製品の評価を共有)

電通ではAISASの登場から10年がたち、2014年にDual AISAS Modelという新たな消費行動を組み入れたた購買行動プロセスを提唱しました。「購買への興味関心」への関心だけでなく、「コミュニケーションへの興味関心」に関してもプロセスに取り入れたものになります。

SIPS

こちらは2011年に電通が提唱した消費行動モデルで、ソーシャルメディアに対応した生活者消費行動モデル。twitterやFacebookなどのソーシャルメディアの登場により、消費者が誰でも発信をできるようになり、さらには企業と消費者の双方向のコミュニケーションも可能になり、情報の流れが変化しました。

  1. Sympathize(共感する)

  2. Identify(確認する)

  3. Participate(「いいね!」やリツイートなどによって参加する)

  4. Share& Spread(製品の評価を共有・拡散する)

SIPSという消費行動モデルにおいて、「共感(Sympathize)」が入り口となります。共感された情報によって情報が広がっておくソーシャルメディア上では、「生活者に共感された情報であること」が何よりも重要になります。

DECAX

2015年に電通が提唱した購買行動モデルです。コンテンツマーケティングに対応した購買行動モデルの一種で、生活者が自らコンテンツを発見することから始まるプロセスです。

  1. Discovery(有益なコンテンツを発見)

  2. Engage(コンテンツの発信元との関係を深める)

  3. Check(発信元の情報を確認する)

  4. Action(購買する)

  5. eXperience(製品を体験して情報を共有する)

コンテンツマーケティングでのコンテンツの活用シーン

カスタマージャーニーとは、顧客が製品やサービスを認知してからの購入までの一連のプロセスのこと

カスタマージャーニーマップは、潜在顧客との最初のタッチポイントから、検討段階のタッチポイント、製品導入段階でのタッチポイントまでの全て経験を可視化したものです。

カスタマージャーニーマップは、フェーズ(段階)ごとに、チャネルやタッチポイント(顧客接点)、消費者のアクション(行動)、考えていること、感情や思考、コンテンツアプローチ、KPIやコンバージョンポイントなどを項目として持たせて、整理していくことが多いです。

カスタマージャーニーマップを作ることで、製品を購入するまで、複数のチャネルやタッチポイントで顧客がどうのようなアクションをして、どのような気持ちになるかを見つめ直すことできます。カスタマージャーニーマップ制作のメリットは、消費者の気持ちになって考えられることとも言えるでしょう。

コンテンツマーケティングにおいても、カスタマージャーニーマップを作ることはとても有効な手段と言えます。

カスタマージャニーマップにあてはめて、どのようなフェーズにどのようなコンテンツがあるといいのか考えてみましょう。

コンテンツマーケティング 購買プロセス

上記は、消費者のアクション(顧客の状態)とコンテンツの関わり方をカスタマージャーニーマップしてみました。

消費者のニーズに応じた情報は何かーーコンテンツを設計できれば、戦略的にコンテンツマーケティングを行なっていけるでしょう。

また、コンテンツ制作に、専門的なスキルや経験も必要です。ホワイトペーパーを作るには、対象のサービスへの理解、文章能力、デザインのクオリティが求められ、それを総合したクオリティが求められます。

コンテンツ制作に求められるスキル

  • 企画力

  • 構成力

  • 文章力

  • デザインのクオリティ

ホワイトペーパーに限らず、コンテンツ制作には様々な専門的なスキルが求められるので、外部パートナーやインハウスのマーケターを適切に選択する必要があるでしょう。コンテンツのクオリティは、ブランディングに密接に関係します。消費者や顧客へのイメージや好感度に繋がり、購入段階では信頼となります。

FLOURISHではカスタマージャーニーマップの作成から、コンテンツ企画及び制作まで対応いたします。ぜひ、ご相談ください。

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