損益分岐点 (Break-Even Point)
損益分岐点とは
損益分岐点の基礎知識
損益分岐点は、収益がコストと等しくなる段階です。つまり、損益分岐点では、利益も損失もゼロになります。
利益は、獲得した売上収益からかかったコストを引くことで求められます。かかったコストは、「変動費」と「固定費」の2種類に分けることができ、利益を求める式は下記になります。
利益=売上収益-変動費-固定費
さらに損益分岐点における利益は0になるため(売上収益-変動費-固定費=0)、下記の式が成り立ちます。
損益分岐点における売上収益 = 固定費 + 変動費
損益分岐点分析の基本的な目的は、会社が損失なく運営するために販売する必要がある製品のユニット数を確認することです。
損益分岐点の計算方法
損益分岐点を計算するのに役立つ、基本的な損益分岐点の公式がいくつかあります。損益分岐点分析の 2 つの基本公式が最もよく使われ、1 つは損益分岐点の個数(ユニット数)の計算に使用され、もう 1 つは損益分岐点の値(売上収益)に使用されます。
損益分岐点のユニット数を計算する方法
例えば、下記のような場合の損益分岐点での販売ユニット数を計算できます。
ユニットあたりの 販売価格 = 2500円
ユニットあたりの 変動費 = 1500円
固定費 合計 = 3,000,000円
販売価格 ×Y(個数)=変動費 ×Y(個数)+ 固定費
2500 ×Y=1500×Y + 3,000,000
1000Y= 3,000,000
Y=3000
つまり、下記の式が成り立ちます。
損益分岐点 (単位) = 固定費 ÷ (単位あたりの収益 – 単位あたりの変動費)
3000個を販売した収益が損益分岐点となります。
2500円×3000=7,500,000円
損益分岐点の売上収益を計算する方法
固定費 = 売上収益×限界利益率(売上高の中で、限界利益が占める割合のこと)で表すことができ、この式を損益分岐点売上収益の計算しやすく置き換えると下記の式になります。
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
例えば、下記のような場合の損益分岐点での販売ユニット数を計算できます。
ユニットあたりの 販売価格 = 2500円
ユニットあたりの 変動費 = 1500円
固定費 合計 = 3,000,000円
限界利益は2500円-1500円=1000円 になります。
限界利益率は、限界利益÷販売価格なので、1000円÷2500円=0.4(40%)となります。
売上収益= 固定費 / 限界利益率 (売上収益に対するパーセンテージとして表示)
= 3,000,000 / 40% *
= 7,500,000円
損益分岐分岐点をグラフで表すと
シンプルな損益分岐点分析を Excel で作成しました。損益分岐点は視覚的に分かりやすいようにグラフで表現されることが多いです。
売上や変動費を単価や販売数量ごとに細かく分析したい場合は、エクセルのゴールシーク(回帰分析)が便利です。
損益分岐点のメリットとデメリット
通常、損益分岐点は、製造業者がどれだけの収益を生み出す必要があるか、コストをカバーするためにいくつ販売する必要があるかを計算するために使用されます。
潜在的なビジネス投資の妥当性を判断し、リスクが高すぎる事業への挑戦を避けるのにも役立ちます。リスクがある場合は、計画にいくつかの変更を加えるか、計画を完全に破棄する必要がある場合があります。
損益分岐点分析は、戦略的な事業計画にも重要です。価格戦略の見直しにつながる可能性があります。
一方で、損益分岐点分析で必要な答えがすべて得られると考えると、ほぼ確実に間違った方向に導かれてしまいます。
損益分岐点分析は、大規模で多様な製品カタログを持つ企業にはそれほど価値をもたらしません。状況が現状と同様である限り、損益分岐点を予測できますが、さまざまな要因により、コストと収益が変動する可能性があります。最初の損益分岐点が無効になる可能性があります。
製品ベースのビジネスは、適切な変数を組み込むことで損益分岐点を簡単に計算できますが、サービスベースのビジネスは、変数が何を特定することが困難なことがあります。そのためサービス業への損益分岐点分析の活用に関する情報は少ないです。