ペネトレーション・プライス
ペネトレーション・プライスとは
ペネトレーション・プライスの基礎知識
ペネトレーション・プライス (penetration price) とは、初期の価格設定を安くして、ある一定期間に市場での普及を目指す価格設定です。普及後に適正価格へ戻す価格政策をとります。 ペネトレーションプライスを取る価格戦略を、「ペネトレーションプライシング(penetration pricing:ペネトレーション価格戦略)」「市場浸透価格戦略」といいます。
ターゲット市場が低価格に反応しやすい場合や価格志向の強い大衆商品、販売量が上がるにつれてコスト優位性を発揮できるときに使われます。
市場シェアを確保することを目的に、利益が出にくい価格設定でサービスや商品を提供し、市場における大きなシェアを獲得できるまで続けます。
下記のような条件下でペネトレーションプライシングが採用されます。
広いマーケットが存在する
価格弾力性が大きく、価格変動による需要への影響が大きい
経験効果により投資の回収ができる
マーケティング活動のどんな時にペネトレーション・プライスを使うの?
ペネトレーション・プライスを採用することが有効な商品やサービスは下記のような条件になります。
普及を優先する商品
スイッチング・コストが高い商品
普及を優先する商品
日常的に使う商品は、商品の良さを体感できると継続して購入・利用する傾向があります。「お試し価格」などと銘打って、利用を体験してもらうことを優先させます。
食品などリピーターが存在する場合や、ツール形式の普及で使われます。
例えば、ゲーム業界ではゲーム機本体のハードウェアが普及しないとソフトウェアの販売を伸ばすことができないので、利用のためにツールを値頃感で価格設定し、競合企業より一刻も早くシェアを獲得しようとします。そのため、逆ざやとなる価格設定をしても本体ハードウェアの普及させようとします。
スイッチング・コストが高い商品
インターネットプロバイダーやモバイルネットワークは、一回利用すると変更しにくいカテゴリーです。値段が上がったからと言って解約するのは面倒です。 契約時の価格設定を安くして、契約後に適正価格で変更することができます。 また、嗜好性の高いカテゴリーでも同様です。スポーツジムやディアゴスティーニなど最初に低価格で体験し、その後に適正価格になったとしても、精神的なスイッチング・コストが発生してしまいます。
ペネトレーション戦略は浸透されるまでに日数がかかるため、企業に体力のある状態でなければなりません。さらに、期待通りに大量生産と経験から原価を下げられるとも限らず、資金繰りにおいてリスクが大きい価格戦略になります。
ペネトレーション・プライシングとは逆に、初期価格を高く設定する価格戦略を、スキミング・プライシングと呼びます。